穴

自分に穿たれた穴を見せることは簡単なことじゃない

「認められる世界なんてそう多くはないし
　認められた世界だってそんなに善くはない」

そう学んで　生きて
それでも僕の中
ヒラこうとするのかい
覗いた穴の中　泥澱に埋もれ
滑稽でいびつに笑う“ほんとう”の姿
見たいと言うのかい

その痛みは認められなかったもののひとつ
孤独に縮こまりすくわれる日を待つだけの小さな吹き溜まり

だからどうかそれを見ても綺麗だなんて言わないでくれよ



（Dec 15,2006）

After Friday

　がたん　がたん

せばまる道の　さらに奥をいく
いつか　いきどまるまで
その日を信じてひたむきに
辿る足元をゆるがすのは
ひとにぎりの感情

　がたん　がたん

ねえ　熱がいくよ
痛みのように触れられた指先
運ばれていく　時間とともに
ただいつまでも見送る
電車の音だけを耳に残して



（Nov 19,2006）

ことば

そこぬけ　すこぶる　いびつ　へきえき
つたない　うそぶく　すがる　いてつく
ふきだまり　ちかみち
つながった
ひとつ



（Aug 30,2006）

びいどろ

金ぴか如雨露の僕のめだま
掘って千切って吐き出せ
落とせ　誰かの心臓に

それをひとでなし、っていうんだ

心臓だって嘯かない
母音だけ並べて
その音だけ聴いてるってんだ



（July 15,2006）

LOW

多分私は人が思うよりも泣き虫で
多分私は人が思うよりも馬鹿で
多分私は人が思うよりも嫉妬深くて
多分私は人が思うよりもいい人なんかじゃなくて

私は、人が思うよりもできそこないだ。

それでも生まれてしまったからしかたない。
弱くないから、しかたない。
しかたないから、私は生きている。