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ほら得意の炎で焼いてくれ あなたの言う愛で
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ちょっと前に書いた暗いAN(気象)。名前が出ないので一見そう見えない。
暴力表現はないですが、ドメスティックバイオレンス設定です(好きだなあ)











冷蔵庫の、地に響くような音。頭を床についているせいで重低音ががんがんと脳髄に響く。ただでさえ重く疼いている脳みそごと揺さ振られて、痺れるような感覚に静かに目を閉じる。

…ペース、メーカー。

頭に浮かんだ言葉を口の形にしてみて、心臓のあたりを握りしめる。心臓を動かすのは、この音だろうか。もし破壊してしまったなら、ゆっくりと緩慢に死んでゆけるのかもしれない。
バクバクと心臓が拍動する。それは興奮か恐怖か。想像する。想像の中の自分の心臓は吐き出すようなカウントダウンの声とともにはじけた。耳をつんざくような破裂音。衝撃で目を見開く。まだ自分が生きてることを確認した瞬間、汗が吹き出た。確かな拍動が示している恐怖。
…もちろん動かされなくとも心臓は動いている。自分は、そんな戯れ事を信じられるほどもロマンチストでも臆病でもなかった。ただ汗ばんだ掌によってシャツは濡れただけだ。どくり、どくり。気持ち悪いくらい生々しい音をあげる。汗がまた滲み出て、口の中に唾液がじわりと溢れる。

…キモチワルイ。

嘔吐感に唾液を嚥下し、口端を舐める。ピリッとした痛みとともに口の中に鉄錆の味が広がる。

同時に、目の前を闇が覆う。闇が扉をこじ開けて、ぎゅるぎゅると壊れたテープレコーダーのように記憶が巻き戻される。


そう、これは単なるデジャ・ヴじゃない。塗り潰されない記憶。すべて忘れられるなど幻想だ。忘れてしまいたいすべては未だここにある。




…ねえ、どうしてあなた、そんなことをしたの。
ことばは、闇に消えた。

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